
-21-
<檻の中の結衣>
光琳館二階の秘宝愛欲部屋、その奥にある四畳半の洋部屋、そこに設えられた鉄格子、二畳の檻、そこが結衣のねぐらです。明夫にみちびかれ、檻へ戻されてきた結衣。身につけているのは赤い首輪だけです。尿瓶がありティッシュボックスがあるだけの檻の中。檻の外、右側に窓があって昼間には光が入ってきて明るいですが、曇りガラスなので外は見えません。もう、夜の10時を過ぎた時間です。朝の七時まで、結衣はここで過ごします。美容師見習いの明夫が、結衣のからだを管理していて、ローションを塗られてマッサージをうけ、肌は潤っています。セックスで避妊のためにピルを飲まされているので、男の性欲にやられ放題です。バスルームに備えられたビデで洗浄しているから、あそこは清潔です。
「ああ、ここから、だして、ほしい、明夫さま、だして、ほしい」
「そうだね、準備が整ったら、だしてやるよ、一緒に、逃げよう」
「そうね、明夫さま、わたし、明夫さまと一緒にいます」
そのことが可能かどうかはわからない逃避です。明夫には、そうしたいとは思うけど、翔太から逃れていけるかどうか、明夫は翔太の子分ですから、新しい女子が見つかるまでは、逃がせてやれない。
「可愛いね、結衣ちゃん、ぼく、好きになってきたんだよ、結衣ちゃんのこと」
「ありがとう、明夫さま、ここにいたら、息が詰まりそう、窒息しそう」
全裸の結衣は、檻の中におんな座りしています。檻の外、鉄の格子を挟んで、明夫が椅子に座っています。フローリングは床暖房してあるから、檻の中も暖かいです。結衣、180㎝✖60㎝サイズで厚さ10センチのマットに毛布をかぶって寝ます。ラジオもテレビもないから、世の中で何が起こっているのかわかりません。あるのは音楽だけ、クラシック、ジャズ、でも演歌とか流行歌はありません。
「翔太のおじいさんが作った館だから、古臭いんだよなぁ」
結衣が生まれるはるか前、昭和というころに流行ったスイングジャズ、それにクラシックはモーツアルトとか。結衣にはクラシックがわかります。というのも高校に入る前までピアノを習っていて、音楽をたくさん聴いてきたからです。
「ああん、明夫さま、してあげる、してあげます、ああん」
檻の中に入ってきた明夫は、ブリーフだけの格好で、ぷっくら前が膨らんでいます。朝と夜に射精するけれど、それだけでは足らないのです。マスタベーションをするけれど、やってもらったらどれだけうれしいことかと思っている矢先です。結衣が、手と口で、明夫を慰めてあげる、と言うのです。翔太も幹夫も今夜は自分のワンルームへ戻っているので、ここ、大原の光琳館、閉店のあとは明夫が宿直で、檻の番です。二人だけをいいことに、結衣の方から交情を、結ぶというのです。

















